住宅設計についての考え方
工事費及び設計監理料について
工事費内訳は、各施工会社によって含まれているものが違います。
表示された工事費には、クーラー、照明器具や床暖房などが抜けていたり、
またそれがオプションだったりと、工事が始まってからいろいろ追加が
出てきたりするケースを多々見聞きします。
また、坪単価も延床か施工床かで違ってきます。
まず初めに、私たちは、施工会社がこの工事をする能力(技術、経営状態、
瑕疵担保責任保険充実等)があるかないかの判断をします。
次に、複数の施工能力のある会社に、私たちの制作した実施設計図面を提示して、
それに基づく公正な競争入札をいたします。
その時に出てきた各社の見積もり書を細かくチェックして工事見積り項目に
抜け落ちているものがないか、それが適正価格かを判断します。
最終的には2社に絞り、施主と相談のうえ予算内で工事可能な優良な施工会社を決定いたします。
設計・監理料につきましては、個人住宅の場合は施工費の9~13%をいただいています
(工事費が大きくなるほど%が低くなり、個人住宅ではなく集合住宅など
規模が大きくなる場合設計料率は下がりますが、別途算出いたします)。
最初に予算化した時点で、設計・監理料は固定されます。
設計監理料については、一部のハウスメーカーなどが設計料を非常に安く提示し、
まるで設計料をサービスするかのような営業手法がたまに見受けられます。
その場合は、次の三点が考えられます。
□ 設計監理料は工事費に上乗せされている。
□ 設計監理に時間とエネルギーをかけない。
□ 経験がなくてもできる一般的なシステム設計をする。
多くの住宅は大量生産的に、いつもの考えでいつものように設計されます。
このようなケースの設計者は、(そこの社員でもなく、雇われた一軒いくらの外注の
建築士や設計事務所の場合もよくあります)施主と密度の高いコンタクトも取らずに
営業マンの話を頼りに設計する場合も多々あります。
基本的に、設計者のモチベーションが変わってくるとおもいます。
その違いは、竣工式によくご理解いただけるものと考えます。
特に重要なことは、設計施工会社などの場合は、
利害関係を一つにする身内が検査(配筋、中間、竣工検査等)をすることです。
どこの世界でも同様ですが、検査される側と利害関係がある人なり組織が
厳しく検査を執行できるでしょうか?
施主の代理人として、施主サイドに立って検査や監理を厳しく執行できるのは、
施工者から独立した私たちのような契約形態のケースだけです。
施主は公正な競争入札で、適正な工事費と優良な施工会社を決定できます。
その過程で、施工費が適正化され、設計料を含む総工事費が合理的なものとなるのです。
注文建築は、施主の個々のご要望は当然として、敷地状況、地盤状況、周辺環境、
気候風土等の違いや特徴により、意匠、構造、設備の設計について、
それぞれに相応しい固有の答を必要とします。
設計監理業務は、それなりの価値を持つ建築を作るためには、流れ作業のように
機械的に短時間でできるものではありません。
その点を、ご理解願いたいと思います。